土地が50坪でも平屋は建てられる!実例を元に工事のコツを紹介
「ワンフロアで生活したい」や「将来のことを考えて平屋が良い」という要望は増えてきています。
その反面、敷地が狭いからと平屋を諦めてしまう方も多いです。
確かに、平屋は2階建てと比べると土地の広さが必要です。
しかし、工夫して工事すれば50坪の土地でも、ゆとりを持って暮らせる平屋は建築可能です。
コンパクトな土地は、土地の固定資産税がかかりにくく、庭の手入れが楽などのメリットもあります。
今回は、50坪の土地に建てる平屋について考えてみましょう。
<コラムのポイント>
・50坪の土地に建てる平屋の面積について説明します。
・コンパクトな土地に平屋を建てるときのコツを解説します。
50坪の土地には何坪の平屋が建てられる?
では、50坪の土地には何坪の平屋が建てられるのでしょうか。
バレーボールコートと50坪の土地は同じくらいの広さ!
50坪の土地と言われても、広さのイメージが湧かない方も多いですよね。
イメージしやすいものに例えると、50坪はバレーボールコートくらいの面積です。
厳密に言うと、公式のバレーボールコートは49坪なので、畳2枚分の広さをプラスすると丁度50坪になります。
50坪の土地は狭いと感じる方もいると思いますが、「50坪」は意外と広いです。
建ぺい率60%の土地なら30坪の平屋が建てられる
50坪の土地に対して建築を行うとき、土地全体を使って50坪の平屋を建てることはできません。
なぜなら、住宅を建てるときは建ぺい率を守る必要があるからです。
建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合のことで、用途地域ごとに定めれています。
土地面積に対する建物の広さを制限することで、建築物の密集を避けることができ、次のようなメリットがあります。
- ・防火対策:火災時の燃え広がりを防ぎ、逃げ道を確保ことができる
- ・採光・採風対策:日当たりや風通しを確保した暮らしやすい建物が建てられる
- ・景観対策:住宅が密集していないゆとりのある美しい景観が保てる
住居系の用途地域の建ぺい率を確認してみます。
用途地域 | 建ぺい率 |
50坪の土地に |
第1種低層住居専用地域 | 30~60% | 15~30坪 |
第2種低層住居専用地域 | 30~60% | 15~30坪 |
第1種中高層住居専用地域 | 30~60% | 15~30坪 |
第2種中高層住居専用地域 | 30~60% | 15~30坪 |
第1種住居専用地域 | 50~80% | 25~40坪 |
第2種住居専用地域 | 50~80% | 25~40坪 |
準住居地域 | 50~80% | 25~40坪 |
田園住居地域 | 30~60% | 15~30坪 |
用途地域によって、15~40坪の平屋が建てられることがわかります。
計算方法は以下の通りです。
- ・条件:50坪の土地、第1種住居専用地域、建ぺい率60%
- ・計算式:50坪(面積)×60%(建ぺい率)=30坪(建築可能面積)
平屋は階段や2階の廊下がないため、30坪でもゆったりとした3LDKの建物が工事可能です。
各個室がコンパクトで良いなら4LDKの家も建てることができます。
建ぺい率は土地の販売チラシに掲載されていますので、購入前に必ずチェックしてくださいね。
分からない場合は、役所の都市計画課に聞くと教えてくれます。
これから土地探しをする方は、建ぺい率にも着目しながら検討すると、ゆとりのある平屋が建てられるでしょう。
駐車場を2台分確保した平屋も建築可能
50坪の土地に平屋を建てると、駐車場が確保できないと思う方もいるでしょう。
しかし、あらかじめ駐車計画を立てて配置を考えれば、2台の車を停めることは可能です。
具体的な面積で考えてみましょう。
車を2台分の駐車場は8~10坪の広さが必要と言われています。
8坪は軽自動車2台、10坪あれば普通車2台を駐車可能です。
例えば、南道路50坪の土地に30坪の建物を建てる場合、残る敷地面積は20坪です。
残った20坪の振り分けを考えてみましょう。
まずは、建物周りの空間を確保するために、8坪ほどの空間が必要になります。
建物とブロックフェンスの間の空間のことです。
敷地にぴったり合わせて建物を建てることはできませんからね。
もちろん建物の形状によって異なりますので、必要な坪数は異なります。
そして、10坪の敷地で2台分の駐車スペースを作ってください。
残りが2坪前後になりますので、ちょっとした庭やアプローチを作ることができます。
駐車場が8~9坪でいいなら、庭などを広げることができますね。
このように考えると、50坪の土地に駐車スペースを2台作ることは現実的と言うことがわかります。
中には縦列駐車の方が敷地を有効活用できるケースもあるあります。
使い勝手や土地の形状を考えながら、敷地に合った駐車スペースを作りましょう。
コンパクトな土地に平屋を工事するときのコツ
50坪台などのコンパクトな土地に、平屋を工事する際のコツを紹介します。
建物に凹凸をつけて最大限に敷地を活かす
コンパクトな平屋に土地を建てるときは、敷地を最大限に活かせるように建物形状を工夫しましょう。
上の画像は、変形した土地に合わせて建物の形状を工事しました。
室内側を見ると三角形のような形状になっていることがわかります。
三角形の各頂点にLDKを配置したため、それぞれの空間は十分な広さが確保されています。
個性的な形状を考慮して、壁掛けテレビや丸いダイニングテーブルを採用した点もポイントです。
一体感のある落ち着けるLDKに仕上がりました。
コンパクトな土地に平屋を建てるなら、敷地に合わせて建物に凹凸をつけて最大限の面積の建物を建てることが大切です。
そして、使い勝手も考えながら間取りを考え、空間の形状に合った家具を配置していきましょう。
窓の位置や高さを工夫してプライバシーの確保を
コンパクトな土地に平屋を建てる場合、間取りによっては道路や隣地と建物の距離が近くなります。
すると、隣家の家の人と目が合ったり、道路からの目線が気になったりすることも少なくありません。
平屋でプライバシーを確保するためには、窓の位置や高さを工夫することが大切です。
例えば、下の画像は道路沿いに配置されたダイニングキッチンです。
キッチンに立つと目の前が窓ですが、高い位置に施工したため目線が気になることはありません。
横長の窓を並べているため、十分な採光を確保することもできています。
外から見たときも、中の様子は全くわかりませんよね。
横並びの窓がアクセントになった、シンプルモダンな平屋に仕上がりました。
また、大きな窓を採用した場合でも、フェンスなどで目隠しを作ることでプライバシーを保つことができます。
こちらの家は掃き出し窓の前に木製の目隠しフェンスを採用しました。
横からの目線も意識して、正面だけでなくサイドもフェンスで囲っています。
道路や隣家からの距離、窓の大きさなどを考慮してフェンスの高さや幅を決めましょう。
注文住宅は机上の打合せだけで決めるのではなく、現地を見て周辺環境を理解することが大切です。
土地に足を運び、隣家の窓の位置や道路の交通量などをチェックしてみてくださいね。
空間によって広さにメリハリをつける
建ぺい率によって建物の面積が制限される場合、すべての空間を広くするのは難しいかもしれません。
そこで、自分の中で空間ごとに広さの優先順位をつけましょう。
優先順位の高い空間を広くするために、次のようなことを意識して見てください。
- ・必要性の低い空間を省く
- ・用途を共有できる空間を作る
具体例を見てみましょう。
下の画像は、LDKの広さを優先させた家です。
こちらの住宅、実は玄関ホールがありません。
玄関とリビングダイニングを直接つなげて、LDKや玄関の広さを確保することに成功しました。
また、廊下と洗面所の空間を共有しています。
廊下に洗面台を配置することで、洗面所の空間を省いて他の空間を広くしています。
洗面台は造作パーツを組み合わせてデザイン性にこだわったため、廊下にあってもインテリアのようにおしゃれです。
広さを優先したい空間と省ける空間を考え、自分の生活に合ったゆとりある平屋を建ててくださいね。
中庭やデッキを作って内外のつながりを作る
建ぺい率によって建物面積が制限されるなら、外の空間を有効活用しましょう。
リビングからつながる中庭やデッキを作れば、広々としたアウトドアリビングの完成です。
見晴らしの良い土地なら、オープンデッキを採用して景色を楽しむことができます。
フェンスなどもシャープなデザインにすることで、室内からの景色も楽しむことができます。
周りからの景色が気になる場合は、壁やフェンスで囲まれた中庭もおすすめです。
木製の壁やドアに囲まれた、プライバシーに配慮された中庭です。
外の空間でもくつろげるような工夫をして、敷地を最大限に活用した平屋を建ててくださいね。
ただし、中庭やデッキでも屋根がかかっている空間は建築面積に入ります。
建ぺい率を考慮するなら屋根のない空間を作り、後からタープやシェードで日除け・雨除けをすると良いでしょう。
ちなみに、屋根の庇が先端から1m以内は建築面積に入らないという決まりもあります。
建ぺい率による面積制限を守りながら、暮らしやすい平屋を工事しましょう。
<合わせて読みたい>
まとめ
50坪の土地でも平屋を建築することは可能です。
コンパクトな土地だからと平屋を諦めず、住宅会社に相談して1度工事してみることをおすすめします。
50坪の土地に平屋を建てるときのポイントは、土地の形状に合わせた間取りを工事することです。
プライバシーに配慮したり、不要な空間は省いたりする工夫もしてください。
土地探しから始める方は、建ぺい率の確認も忘れずに。
暮らしやすい平屋を建てて、コンパクトな土地を最大限に有効活用しましょう。
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