「高低差のある土地」のメリット・デメリットと注意点|建築例もご紹介
道路や隣地との高低差のある土地でも、住宅を建てることはできます。
しかし、どのような家が建てられるのか想像がつかず、高低差があると不便なのではと不安に思う方もいるでしょう。
そこで今回は、高低差のある土地のメリット・デメリットと注意点を解説します。
デザイン性や暮らしやすさにこだわった、高低差のある土地の建築例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
<コラムのポイント>
- ・道路や隣地と高低差のある土地は、工事費用がかかりやすく建築難易度が高いなどのデメリットがあります。
- ・高低差のある土地は、景観が良かったりプライバシー性を確保できたりするなど、メリットも多いです。
- ・設計力・施工力があり、高低差のある土地の建築実績が豊富な住宅会社に相談し、デザイン性と暮らしやすさにこだわった住まいを建てましょう。
目次
高低差のある土地とは
高低差のある土地とは、建築する敷地が周辺と異なる高さになっている土地のことです。
具体的には、次のようなケースが考えられます。
- ・建築する土地が道路よりも高い・低い
- ・建築する土地が隣地よりも高い・低い
- ・敷地内で高低差がついている
軽度な盛土・切土で周囲と地盤面をフラットにできるケースもあれば、敷地内に段差をつけて建物を建築するケースも多いです。
状況に応じて適切な工事内容を検討する必要があるため、高低差のある土地に建築するには高い設計・施工力が求められます。
「高低差のある土地」にひそむ5つのリスク・デメリット
高低差のある土地にひそむリスクやデメリットを確認しましょう。
工事費用がかかりやすい
高低差のある土地は、次のような工事が必要になるケースがあります。
工事 | 内容 |
---|---|
造成工事 | 切土・盛土などで地盤面の高さを整える |
擁壁・土留め工事 | 基礎や土が流れ出るのを防ぐために壁を作る |
基礎工事 | 敷地の高低差に合わせて基礎高を変える等 |
外構工事 | 敷地の高低差を解消するために階段やスロープを施工する等 |
一般的な土地では不要な工事が、高低差のある土地では必要になるケースがあります。
相場より安い価格で高低差のある土地を買っても、特殊な工事によってトータルの費用が高くなる可能性があるため注意が必要です。
盛土をすると軟弱な地盤になりやすい
周囲よりも地盤面が低い場合は、敷地内に土を入れる「盛土工事」をすることが一般的です。
土の種類や施工技術によっては、盛土部分が軟弱な地盤になり、地震時に建物が倒壊するリスクが高まります。
適切に盛土工事をしても、新しい土は締め固められていないので隙間が多く、建築後に地盤が下がる危険性があります。
そのため、盛土をした土地は地盤改良が必要になるケースも少なくありません。
高低差のある土地を安く購入しても、高い地盤改良費がかかるリスクがある点も理解しておきましょう。
住宅会社の選択肢が狭まる
高低差のある土地は、一般的に設計の難易度が高いと言われているため、住宅会社によっては家づくりを依頼できない可能性があります。
設計の自由度が低い住宅会社などでは、高低差のある土地への建築は対応できないケースもあるからです。
高低差のある土地でも対応してくれる、設計力のある住宅会社を探してみてくださいね。
敷地内に段差があると住みにくい
高低差のある土地は、敷地内に段差が生じやすい点もデメリットです。
周囲よりも地盤が高い土地の場合、駐車スペースだけ切土工事をすると建物の間に大きな段差が生じるため、階段などを施工する必要が出てきます。
実際に暮らしてみたら階段の上り下りが大変だったり、老後の暮らしに不安を感じたりする可能性があることを理解しておきましょう。
入居まで時間がかかるケースがある
高低差のある土地は、次のような理由で入居までに時間がかかるケースがあります。
- ・高低差を解消するための造成や土留め工事などが必要だから
- ・高低差が大きな土地は確認申請前に開発許可が必要になるから
高低差のある土地は、一般的な土地には不要な工事をするケースがあり、工期が伸びる可能性があります。
また、切土・盛土の合計が1m以上の造成工事をする場合は、事前に開発許可申請が必要です。
2.開発許可とは(都市計画法第29条)
開発行為(主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更)については、当該開発行為に着手する前に市長の許可が必要です。
ただし、市街化区域内における開発区域の面積が1,000平方メートル未満の開発行為及び市街化調整区域内における農業、林業、漁業の用に供するための開発行為等については、許可を要しません。※ 特定工作物
・第一種特定工作物:コンクリートプラント、アスファルトプラント等周辺地域の環境を悪化させるおそれのあるもの
・第二種特定工作物:ゴルフコース及びその規模が1ヘクタール以上の野球場・遊園地等の運動・レジャー施設並びに墓園
※ 区画形質の変更
・区画の変更とは、道路等の公共施設を設けて土地の物理的状況の区分することをいう。単なる分合筆(権利区画の変更)は対象としない。
・形質の変更とは、切土、盛土等によって土地の物理的形状を変更することをいい、現況地盤を基準として、切土、盛土又はその合計の高さが概ね1m以上の造成工事を伴うものをいう。
開発許可が必要な場合、数ヵ月単位で工期が長くなるケースもありますので、土地の購入前に住宅会社へ確認することをおすすめします。
「高低差のある土地」のメリット
高低差のある土地には、もちろんメリットもあります。
- ・土地価格が相場より安い
- ・見晴らしが良い
- ・プライバシー性が高い家をつくりやすい
- ・浸水被害を受けにくい
- ・個性的な外構・外観をつくれる
高低差のある土地は買い手が付きにくいため、価格が相場よりも安いことが多いです。
また、周囲よりも高い位置に建物を建築することで、景観の確保やプライバシー性を高めた家づくりができます。
地盤面が高い建物は、浸水被害を防げる可能性が高い点もメリットです。
さらに、設計力の高い住宅会社に家づくりを依頼することで、土地の高低差を活かしたおしゃれで個性的な住まいを建てることができます。
高低差のある土地を購入する際の注意点
高低差のある土地を購入する際の注意点をご紹介します。
必要な工事内容や費用をあらかじめ把握する
高低差のある土地は、必要な工事内容や費用をあらかじめ把握しておくことが大切です。
一般的な建物の坪単価や外構費用で資金計画を立てると、予算オーバーにつながるリスクがあります。
信頼できる住宅会社に土地探しの段階からサポートしてもらい、土地に合わせた資金計画を立ててもらいましょう。
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がけ条例が適用されるケースもある
高低差が大きな土地は「がけ条例」が適用されるケースがあるため注意が必要です。
がけ条例は建築に関する制限ですが、エリアによって内容が異なります。
一例として、愛知県の建築基準条例を確認してみましょう。
(がけ附近の建築物)
第8条 建築物の敷地が、高さ2mを超えるがけに接し、又は近接する場合は、がけの上
にあつてはがけの下端から、がけの下にあつてはがけの上端から、建築物との間にその
がけの高さの2倍以上の水平距離を保たなければならない。ただし、堅固な地盤又は特
殊な構造方法によるもので安全上支障がないものとして知事が定める場合に該当すると
きは、この限りでない。
2 高さ2mをこえるがけの上にある建築物の敷地には、地盤の保全及びがけ面への流水
防止のため、適当な排水施設をしなければならない。
愛知県では、高さが2mを超えるがけに接しているもしくは近接している場合、建築物との間にがけの高さの2倍以上の水平距離を確保する必要があります。
つまり、建物を建てる位置に制限がかかるということです。
がけ条例が適用されると、希望する配置や建物面積、間取りなどが採用できないケースがあるため注意しましょう。
既存の土留め・擁壁がある場合は強度を確認する
高低差のある土地は、もともと土留めや擁壁が施工されていることもあります。
しかし、簡易的な土留め・擁壁や施工されてから時間が経っている場合、強度不足による崩壊のリスクがあるため注意が必要です。
土留めや擁壁をつくり直す場合、解体費や施工費が追加でかかるため、さらに建築費用が高くなります。
住宅会社などのプロに依頼して現地に同行してもらい、既存の土留めや擁壁の強度を確認してもらいましょう。
【建築例】高低差のある土地を活かした建物・外構をご紹介
高低差のある土地を活かした建物と外構の建築例をご紹介します。
石積みがおしゃれなナチュラルモダンな住まい
道路と敷地に大きな高低差がある土地の建築例です。
直線的なアプローチでは階段が急になってしまうため、門扉の位置を工夫してL字型のアプローチをつくりました。
存在感のある石積みをアクセントにしたナチュラルモダンな住まいです。
二階部分の面積を小さくして白い外壁を選ぶことで、高さのある家でも圧迫感が出ないようにしています。
道路との高低差がほとんどない北側に、駐車スペースと玄関を配置しています。
駐車スペースを南側に配置する場合、広範囲に対して切土工事が必要ですが、北側にあれば大きな造成工事が不要です。
また、駐車スペースから玄関までがフラットにつながるため、身体への負担もかかりません。
デザイン性・利便性・費用面など様々な点に配慮した、高低差が大きな土地の建築例です。
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使い勝手を考えたシンプルな住まい
基礎高に変化をつけて、土地の高低差に対応した建築例です。
こちらの事例のように、大規模な切土・盛土をしなくても、建築時の工夫で高低差を解消することもできます。
駐車場と玄関ポーチをつなぐ階段は、1段あたりの高さを調整して上り下りがしやすいようにしています。
また、踊り場や手すりを採用し、身体への負担を配慮した設計を意識しました。
玄関ポーチと階段を同素材で仕上げ、外構と建物を一体化させることで、シンプルな外観デザインが実現しています。
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高低差のある土地への建築は「住宅会社選び」が重要
高低差のある土地への建築は、住宅会社の高い設計力と施工力が求められます。
建物や外構の安全性や耐久性を考えることはもちろんのこと、高低差があっても暮らしにくさを感じない工夫やデザイン性の高さも大切です。
高低差のある土地の施工実績が少ない会社の場合、暮らし始めてから不便さなどを感じて後悔する可能性もあります。
実績豊富で高い技術力を持った住宅会社に依頼し、土地選びの段階からサポートしてもらいながら、高低差を活かした住まいを提案してもらいましょう。
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愛知に住む人、豊橋に住む人を家づくりで幸せにする。「人生を最高に楽しむ家」をつくることを目指して家づくりをしています。
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