平屋が二階建てより固定資産税が高い理由|計算方法や比較シミュレーション、安くする方法を紹介
平屋に魅力を感じても、坪単価や固定資産税が高いと聞くと心配になりますよね。
事実、平屋は二階建てより固定資産税が高い傾向にあります。
本記事では、愛知を中心に平屋を建築している工務店「ブルーハウス」が、平屋の固定資産税について固定資産評価基準などをもとに詳しく解説します。
<コラムのポイント>
- ・平屋が二階建てと比べて固定資産税が高くなりやすい理由を紹介します。
- ・建物にかかる固定資産税の計算方法を紹介します。
- ・平屋と二階建ての固定資産税を計算し、比較シミュレーションします。
- ・平屋の固定資産税を安くする方法を紹介します。
実際に固定資産税の計算シミュレーションもしているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
平屋は二階建てと比べて固定資産税が高くなりやすい
平屋は、同じ延床面積の二階建てと比べて固定資産税が高くなる傾向にあります。
理由は以下の3点です。
- ・屋根の面積が大きい
- ・基礎の面積が大きい
- ・建ぺい率の制約で敷地面積が広くなる
ただし、固定資産税は多くの要素で変動するため、平屋と二階建てといった違いだけで比較するのは困難です。
あくまでも目安であり、仕様や工法、地域などによっては平屋のほうが安いケースもあります。
屋根の面積が大きい
同じ延床面積を確保しようとすると、二階建ては縦にスペースを広げられる反面、平屋は横に広げなければなりません。
そのため、同じ延床面積の二階建てと比べると平屋は屋根の面積が大きくなります。
屋根の面積が大きいと工事原価(労務費や使用する部材)が高くなり、建築費と比例関係にある固定資産税が高くなります。
採用例が多いものではありませんが、特に銅板屋根は部材の価格が高く、固定資産税が高くなりがちです。
基礎の面積が大きい
屋根と同様に、平屋は基礎の面積も大きくなります。
平屋は屋根と基礎部分の工事原価が高く、固定資産税が高くなりがちです。
なお、平屋は二階建てのように階段を施工する必要はありません。
この点は固定資産税が安くなる方向に影響しますが、それでも屋根や基礎による影響のほうが大きくなるのが一般的です。
建ぺい率の制約で敷地面積が広くなる
建ぺい率とは、建築基準法で定められている建築面積に関する制限です。
建ぺい率が60%なら、建築面積は敷地面積の60%以下に制限されています。
仮に敷地面積が150㎡で建ぺい率が60%のとき、建築面積は90㎡までです。
そのため、平屋で2階建てと同じ延床面積を確保するには、2階建てよりも広い敷地が必要となります。
敷地が広いほど固定資産税は高くなるため、広い敷地が必要な平屋は2階建てより固定資産税が高くなる可能性があります。
平屋と二階建ての固定資産税の計算方法
平屋と二階建ての固定資産税がいくらかを計算する方法を紹介します。
基本は、固定資産税評価額(固定資産課税台帳に登録された価格)に税率(標準税率は1.4%)を乗じた額です。
<参照>豊橋市「市税 固定資産税」
建物の固定資産税評価額を決定する
固定資産税を計算する際の「固定資産税評価額」は、総務大臣が定めた固定資産評価基準にしたがって市町村長が決定します。
実際には市長などが決定をする前に、新築後に固定資産評価員が実地調査に訪れます。
そのあと調査結果が市町村長に提出され、固定資産税評価額が決定されるといった流れです。
固定資産税評価額の具体的な評価方法は複雑ですが、評価の基本は建築費です。
屋根や基礎、外壁といった部位ごとに、建築費に影響する資材や設備のグレード、施工方法、延床面積などに応じて評価されます。
<参照>総務省「固定資産評価基準」
固定資産税評価額に税率を乗じる
固定資産税評価額がわかれば、税率(1.4%)を乗じるだけで固定資産税を算出できます。
税率は市町村の条例で定めるため地域で異なる場合があるものの、ブルーハウスの主な施工エリアである豊橋市や豊川市、日進市は税率1.4%です。
仮に固定資産税評価額が900万円のとき、税率1.4%を乗じて固定資産税は12万6,000円です。
なお、新築後の一定期間、固定資産税が減額される特例措置があります。
新築住宅の減額を適用する
令和8年(2026年)3月31日までに床面積50㎡以上280㎡以下の住宅を新築すると、新築から3年間(認定長期優良住宅は5年間)、固定資産税が半額になります。
ただし、新築住宅の減額を受けるには市町村に固定資産税軽減申告書の提出が必要です。
※新築住宅の減額(特例措置)の適用期限は、延長される場合や期限で終了する場合があります。
減額の適用期間が優遇される長期優良住宅については、以下の記事で詳しく解説しています。
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平屋と二階建ての固定資産税を比較シミュレーション
固定資産税の計算方法を紹介したので、実際に平屋と二階建ての固定資産税を計算して比較します。
シミュレーションの前提条件は、以下のとおりです。
- ・建物の固定資産税評価額は平屋が1,500万円、二階建てが1,300万円
- ・敷地面積は平屋が160㎡、二階建てが120㎡
- ・固定資産税路線価は4万円/㎡
- ・税率は1.4%
固定資産税評価額は屋根と基礎が広い点を考慮して平屋を高めに、敷地面積は建ぺい率を考慮して平屋を広めに設定しています。
平屋
平屋の固定資産税は、以下のとおり土地と建物あわせて約12万円です。
- ・建物の固定資産税:評価額1,500万円×税率1.4%×減額特例1/2=10万5,000円
- ・土地の固定資産税:路線価4万円×面積160㎡×特例1/6×税率1.4%=約1万5,000円
建物の固定資産税は、新築住宅に適用される減額特例を適用し、半額としています。
土地の固定資産税は、固定資産税路線価に敷地面積を乗じて求めた評価額について、小規模住宅用地の特例を適用して6分の1にした額から税率を乗じて算出しました。
土地にかかる固定資産税の計算方法や小規模住宅用地の特例などは、以下の記事で詳しく解説しています。
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二階建て
二階建ての固定資産税は、以下のとおり土地と建物あわせて10万2,200円です。
- ・建物の固定資産税:評価額1,300万円×税率1.4%×減額特例1/2=9万1,000円
- ・土地の固定資産税:路線価4万円×面積120㎡×特例1/6×税率1.4%=1万1,200円
前提条件のとおりだと、平屋は二階建てより約2万円固定資産税が高い結果となりました。
平屋の固定資産税を安くする方法
平屋の固定資産税を安くする方法を紹介します。
固定資産税は建築費用をべースに建物を評価するため、基本的には建築費用を抑えることが固定資産税を安くするポイントです。
床面積を抑える
固定資産税評価額は、部分ごとの仕様に応じて定められた標準評点数(床面積1㎡など単位当たりの標準的な施工料に対する工事費)に床面積を乗じて計算します。
そのため、床面積を抑えることで固定資産税の額を抑えることが可能です。
建築プランを立てる際は、無駄なスペースがないか、スペースを有効活用できないかといった視点で注意するとよいでしょう。
シンプルな間取り・形状にする
固定資産評価基準では、同じ床面積でも平面の形状が複雑であるほど建築費が増加すると考えます。
たとえば、平面の形状が複雑であるほど建物に使用する壁の量は増加し、かかる建築費も高くなります。
そのため、できる限りシンプルな間取り・形状にすることが固定資産税を抑えるために有効です。
以下の記事でシンプルな家の魅力をお伝えしているので、ぜひあわせてご確認ください。
部材や設備のグレードを抑える
固定資産評価基準では、部材や設備のグレードごとに、異なる標準評点数(床面積1㎡など単位当たりの標準的な施工料に対する工事費)が定められています。
たとえば、床を畳(上)で仕上げた場合の標準評点数は7,360である一方、石材系で仕上げると18,070以上です。
したがって、部材や設備のグレードを抑えると固定資産税を安くできます。
長期優良住宅の認定を取得する
長期優良住宅の認定を取得すると、新築住宅に適用される固定資産税の減額期間が通常の3年から5年に延長されます。
固定資産税が半額になる期間が2年増えるため、通常と比べて1年分の固定資産税の軽減を見込めます。
ただし、長期優良住宅の認定取得には別途費用がかかる場合もあるため、総合的に判断するのがおすすめです。
平屋と二階建ての固定資産税についてのQ&A
平屋と二階建ての固定資産税について、よくある疑問にお答えします。
平屋と二階建ての固定資産税はどっちが安い?
仕様や工法、地域などによって異なりますが、一般的には二階建てのほうが安くなります。
平屋の固定資産税の平均は?
平屋に限って固定資産税の平均を集計した行政機関による統計はありません。
なお、全国における新造分(増築を含む)の木造住宅の固定資産税評価額は、1棟あたり約833万円でした。
税率が1.4%として新築住宅の減額特例を適用すると、固定資産税は58,000円ほどとなります。
まとめ
平屋は階段や2階のトイレの施工がないものの、基礎と屋根の面積が大きいため同じ延床面積の二階建てより固定資産税が高くなる傾向があります。
ただし、固定資産税は仕様や工法、地域などによって異なるため、必ずしも平屋のほうが高くなるわけではありません。
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