高気密高断熱の住宅にデメリットはあるのか|住んでみて後悔しないための対策を紹介
「高気密高断熱の住宅を建てて年間を通して快適に過ごしたい」とお考えの方は、デメリットも事前に把握しておきましょう。
気密性・断熱性の高い住宅のデメリットを事前に確認し、対策を講じることで「住んでみて後悔した」などの失敗のリスクを軽減できるからです。
今回は、以下のポイントを中心に高気密高断熱の住宅のデメリットと対策について紹介します。
<コラムのポイント>
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- ・「高気密高断熱の住宅とはどのような仕様なのか」判断する基準などを紹介します。
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- ・住宅の気密性と断熱性はセットで考えましょう。
- ・高気密高断熱の住宅のデメリットと対策を紹介します。
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目次
高気密高断熱の住宅とは
高気密高断熱の住宅とは、気密性と断熱性を高めた住宅のことで、「外気の影響を受けにくい」ことが大きな特徴です。
室外から空気が入りにくく、外に逃げにくい工夫を施すことで、「夏は涼しく、冬は暖かい」理想の住宅に近づきます。
断熱性の高い住宅とは
断熱性の高い住宅とは、年間を通して室温を一定に保てるように設計された住宅のことを指します。
例えば、以下のような施工をすることで住宅の断熱性を向上させます。
- ・適材適所に断熱材を施工する
- ・断熱性の高い窓・サッシを取り入れる
- ・軒や庇の出を深くして遮熱性を高める
高断熱住宅の基準としては、従来から断熱等性能等級があり、「住宅の品質確保の促進等に関わる法律」により、等級1~7までランクが定められています。
また、住宅の断熱基準として注目されている「HEAT20」にはG1~G3までのグレードがあり、国で定めた最低基準やZEH基準よりも厳しく設定されているので高断熱住宅の指標になります。
- G1:断熱等性能等級5相当
- G2:断熱等性能等級6相当
- G3:断熱等性能等級7相当
ZHE住宅の概要については、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひごらんください。
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気密性の高い住宅とは
気密性の高い住宅とは、すき間を減らして室内と屋外の空気の移動を少なくする性能をもつ住宅のことを指します。
そして気密性を高めるためには、以下のような施工が必要です。
- ・すき間ができやすい場所に気密処理を施す(気密テープなど)
- ・サッシの気密性を高める
- ・気密性の高い断熱材を選定する
- ・気密測定を実施する
住宅の気密性は、C値を基準に判断しましょう。
C値は住宅の相当隙間面積で、低いほど優秀な数値となります。
2009年に省エネ法が改定された際に基準値が削除されましたが、住宅の気密性を計る重要な指標で、概ね0.2~0.5の数値を出すことができれば、技術力の高い施工会社であると言われています。
断熱性と気密性はセットで考える
断熱性と気密性はセットで考えましょう。
どんなに住宅の断熱性を高めても、全体にすき間が多いと効率的に断熱できないからです。
断熱性と気密性のどちらも高い住宅にすることで、年間を通して過ごしやすい空間を実現できます。
高気密高断熱の住宅を検討中の方は、ブルーハウスにお問い合わせください。
ブルーハウスは、高気密高断熱住宅にこだわっています。(現在HEAT20G2グレードを中心に建築。全棟気密測定(C値測定)を実施)
高気密高断熱の住宅のデメリットと対策
高気密高断熱の住宅には、いくつかのデメリットがありますが、しっかりと対策をすることでデメリットを解消できます。
ここでは、住宅の断熱性・気密性を高めたが故に起こりうるデメリットと対策について紹介します。
湿度が室内にこもることがある
気密性が高い住宅は、室内の空気を外に逃がさないので湿度が上昇すると下がりにくい傾向があります。
室内の湿度が高いと、以下のようなデメリットがあります。
- ・結露が発生する
- ・カビ・ダニの発生
- ・蒸し暑く感じる
特に、壁の内部や床下などで発生する内部結露は、木材の腐食やカビの発生などのリスクが高まるので対策が必要です。
以下のような対策を講じることで、室内の湿度をコントロールできます。
- ・高性能換気システムを導入する
- ・外張り断熱を採用する
- ・窓の配置や間取りを工夫し風通しをよくする
- ・内装材に調湿性能がある建材を取り入れる
高気密住宅は、換気性能が重要ですので、「全熱交換式の第1種換気システム」など換気性能が高く、熱ロスが少ないシステムを取り入れると室内の湿度コントロールをしやすいです。
また、窓の配置や間取りを工夫し風通しをよくすることも大切ですので、設計時に設備による換気と自然換気をバランスよく取り入れるようにするのがポイントです。
室内の空気がこもりやすい
湿度がこもりやすい理由と同様に、室内の空気についてもこもりやすい傾向があることに注意しましょう。
新鮮な空気の入れ替えができないと、ハウスダストを外に出すことができませんし、シックハウス症候群など健康被害のリスクも高まります。
しかし、こちらについても上述した換気システムなど設備による換気と住宅設計による自然換気などの対策により、デメリットを解消できます。
室内が乾燥しやすい
湿度対策や空気の入れ替えのため、性能が高い換気システムなどを取り入れ、24時間換気にすることで冬場は逆に室内が乾燥しやすくなります。
このようなデメリットを解消するには、冬場は加湿器で湿度を上げるなどの工夫が必要です。
石油ストーブが使えない
気密性が高い高気密高断熱の住宅は、以下のようなリスクがあるので、石油ストーブを使わないようにしましょう。
- ・酸欠や一酸化炭素中毒の危険性
- ・結露が起きやすい
石油ストーブの代わりに、以下のような暖房器具を使用することでデメリットを解消できます。
- ・エアコン
- ・床暖房
- ・全館空調
- ・FF式ファンヒーター
以下の記事では全館空調のメリット・デメリットなどを紹介していますのでぜひごらんください。
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夏に熱気がこもることがある
断熱性が高い住宅であっても、夏の猛暑日などは日射により室内の温度は上昇します。
一度温度が上がってしまうと、熱気が室内にこもる場合がありますので、以下のような工夫をしましょう。
- ・日当たりのよい部屋には「遮熱タイプ」の窓を選定する
- ・すだれ、シェード、グリーンカーテンなどを利用する
建築コストがかかる
高気密高断熱の住宅は、建材・住宅設備など質の高いものを使用しますので、建築コストがかかる傾向があるのがデメリットです。
しかし、気密性・断熱性が高い住宅は、光熱費などランニングコストを抑えられるので長い目で見れば経済的です。
また、高気密高断熱のような省エネ住宅は、基準を満たせば、住宅ローン減税や補助金制度を利用できるケースもありますので、上手に利用できれば初期費用の負担を減らせます。
(例)
【住宅ローン減税】
省エネ基準に適合など条件を満たせば、各年末の住宅ローン残高の0.7%控除(最大13年間)
【フラット35S】
フラット35の金利を一定期間引き下げ
【子育てエコホーム事業】
子育て世代などによる高い省エネ性能を有する新築住宅の取得に対して支援
参考;国土交通省ホームページ「住宅:令和6年度支援事業一覧」
※補助金制度の内容は国の予算などにより、毎年変わりますので住宅購入時に確認するようにしましょう。
以下の記事では、住宅ローン減税などを含めた住宅ローンの資金計画について紹介していますので、ぜひごらんください。
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高気密高断熱の住宅のメリット
ここまで、高気密高断熱の住宅のデメリットと対策を解説してきましたが、もちろん、メリットもたくさんありますので、それぞれ見ていきましょう。
年間を通して室内の温度を一定に維持しやすい
高気密高断熱の住宅は、外気の影響を受けにくい特徴があるので、室内の温度を一定に維持しやすいです。
もちろん、年間を通してエアコン無しで過ごせるわけではありませんが、「エアコンをつけても涼しくならない、暖まらない」などの不具合を解消できます。
ヒートショックを予防できる
気密性・断熱性が低い住宅は、リビングと寝室など部屋の場所による温度差が大きいのでヒートショックなどのリスクがあります。
高気密高断熱の住宅は、部屋の場所による温度差も小さいのでヒートショックを予防できます。
光熱費を削減できる
断熱性・気密性が低い住宅は、すき間風などによって冬場は暖房をつけても設定温度まで中々上がらず、常に暖房運転になるような状態になります。
一方で、高気密高断熱の住宅なら、一度設定温度に至れば温度を維持できるので、エアコンは送風運転になり電気代を抑えられます。
住宅を長持ちさせる
高性能換気システムなどしっかりと結露対策を施した高気密高断熱の住宅は、内部結露などのリスクを軽減できます。
これにより、結露による建材の腐食などを防止し、住宅を長持ちさせることができます。
高気密高断熱の住宅を建てる際のポイント
住宅の気密性・断熱性をより高めるためには、以下のポイントを意識して施工会社と相談しながら進めましょう。
断熱工法を検討する
床、天井、壁などの場所により以下のように様々な工法があります。
- ・外張り断熱:断熱材を柱の外側に入れる
- ・充填断熱:柱の間に断熱材を入れる
内断熱よりも外断熱の方が、断熱性が高い特徴がありますが、外壁が厚くなってしまうデメリットがあります。
- ・基礎断熱:建物の基礎のコンクリートに断熱材を配置
- ・床断熱:1階の床下に断熱材を配置
基礎断熱の方が断熱性・気密性に優れていますが、シロアリ被害にあいやすいなどデメリットもあります。
また、断熱材にも以下のような種類があります。
- ・無機繊維系:グラスウール・ロックウールなど
- ・木質繊維系:セルロースファイバーなど
- ・発砲プラスチック系:硬質ウレタンフォーム・フェノールフォームなど
それぞれ特徴があり、一般の方ではわからないことも多いので施工会社と相談しながら進めましょう。
窓の断熱性能を重視する
窓は、外気の影響を受けやすい場所なので、しっかりと断熱対策をすることをおすすめします。
窓の断熱は、「サッシ」と「ガラス」選びがポイントで、一般的に以下のように樹脂サッシが最も断熱性が高く、ガラスはペアガラスよりもトリプルガラスの方が断熱性が優れています。
樹脂サッシ(トリプルガラス)>樹脂サッシ(複層ガラス)>アルミ樹脂複合サッシ(複層ガラス)
また、日当たりのよい部屋には「遮熱タイプ」の断熱窓を設けて、夏の日差しを軽減するなどの工夫で夏に熱がこもることを防止できますのでおすすめです。
住宅の「換気」「風通しのよさ」が大切
ここまで紹介したように、高気密高断熱の住宅は室内の空気が外に逃げない傾向があるため、「換気」と「風通しのよさ」が重要です。
以下のようなポイントを意識することで、住宅内に空気の流れをつくることができれば、高気密高断熱の住宅のデメリットの多くは解消されます。
- ・高性能換気システム(全熱交換式第1種換気システムなど)を導入する
- ・風通しのよい間取りをつくる(窓の配置など)
- ・空気の流れをよくする(シーリングファンを設置するなど)
- ・高性能エアコンを導入する(除湿機能など)
高気密高断熱の住宅でよくある質問
最後に、高気密高断熱の住宅についてのよくある質問を紹介します。
Q高気密高断熱は体に悪いから必要ないと聞きましたが本当ですか?
高気密高断熱の住宅で息苦しく感じることがある場合は、十分な換気が行われていないことが原因として考えられます。
機械換気・機械給気の第1種換気システムなど換気力の高い設備を導入するなど、しっかりと空気の入れ替えができる環境を整えれば、息苦しく感じるなど体に悪いと思われるリスクを軽減できます。
Q高気密高断熱なのに夏は暑いし冬は寒いのはどうして?
高気密高断熱の住宅でも、夏の猛暑日や寒い冬場にはエアコンが必要です。
エアコンなどをつけても暑さや寒さが改善できなければ、施工会社の技術不足などの可能性もあります。
特に、断熱性は高いけど、気密性が不足している施工が多い傾向がありますので、しっかりと気密測定を実施してくれるような信頼できる施工会社を選ぶことが大切です。
まとめ
今回は、高気密高断熱の住宅のデメリットと対策を中心に解説しました。
高気密高断熱の住宅のデメリットの多くは、空気の入れ替えができていないことに起因しますので、「適切な換気設備の導入」と「風通しのよい間取り」を実現することで解消できます。
上記のポイントを参考にしていただき、「夏は涼しく、冬は暖かく」暮らせる高気密高断熱の住宅を実現していただければ幸いです。
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ブルーハウスは、豊橋市でオーダーメイドのデザインと快適性、住みやすさを両立した家づくりをしています。
- ・デザインも性能も叶えて、長く快適に経済負担の少なく住める家をつくっています。
- ・ブルーハウスは、高気密高断熱住宅にこだわっています。(現在HEAT20G2グレードを中心に建築。全棟気密測定(C値測定)を実施)
- ・無垢材や塗り壁など、自然の素材を使った家づくりが得意です。
- ・土地探しからも始められて、建てたい家や住みたい地域、住みたい環境から適した土地をお探しします。
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