高気密住宅の24時間換気で感じる矛盾|換気が必要な理由、種類と選び方を徹底解説

「高気密住宅はどうして換気が必要なのか」、「24時間換気は本当に意味があるのか」とお悩みを抱えていらっしゃる方へ。
せっかく住宅の気密性を高めたにも関わらず、24時間換気を行うことに矛盾を感じる方は多くいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、高気密住宅で快適な暮らしを実現するためには、24時間換気システムの導入が必須です。
本記事では、高気密住宅の24時間換気で矛盾を感じる原因と必要性、種類と選び方について詳しく解説します。
換気に関するモヤモヤを解消したい方、ご家族が快適に暮らせる住まいを実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
<コラムのポイント>
・高気密住宅の24時間換気に矛盾を感じる原因を解説します。
・高気密住宅で24時間換気が必要な5つの理由を紹介します。
・高気密住宅における24時間換気システムの種類と選び方を解説します。
・高気密住宅の換気についてよくある質問にお答えします。
目次
高気密住宅の24時間換気に矛盾を感じる原因

高気密住宅を検討する際に、「家を密閉しておきながら、なぜ常に換気が必要なのか」と矛盾を感じる方は多くいらっしゃいます。
この矛盾を解消するには、「すき間風」と「計画換気」の違いを理解することが重要です。
気密性の低い住宅では、冷たいすき間風の侵入とともに、暖房で暖めた空気が外へ逃げます。
これでは、どんなに高性能な換気システムを導入しても、計画通りに空気が流れず空調ロスが生じてしまいます。
高気密住宅の計画換気であれば、給排気のルートとタイミングをコントロールできるので、空調ロスを最小限に抑えられるのです。
高気密住宅における換気の必要性については、次の章で詳しく解説します。
高気密住宅で24時間換気が必要な5つの理由

高気密住宅において、換気が重要視されるのには明確な理由があります。
この章では、換気が必要な5つの理由について詳しく解説します。
シックハウス症候群のリスクを軽減できる
適切な換気計画は、シックハウス症候群のリスク軽減につながります。
シックハウス症候群とは、建材や家具に含まれるホルムアルデヒドなどの有害物質が原因で、健康に悪影響を及ぼすものです。
シックハウス症候群のリスク軽減のため、2003年の建築基準法改正により、すべての住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられました。
(参考)国土交通省 建築基準法に基づくシックハウス対策について
高気密住宅はすき間からの自然な空気の入れ替えが少ないため、機械による強制的な換気が必要不可欠です。
計画的に空気を入れ替えることで、ご家族の健康を守り、健やかな暮らしを実現できます。
清潔な室内環境を維持できる
室内環境に悪影響を与えるのは、建材や家具から出る有害物質だけではありません。
人間が呼吸をするだけで、室内の二酸化炭素濃度は上昇し、料理の臭いや生活臭、ホコリによって空気が汚れ、健康被害へとつながる恐れがあるのです。
このような室内環境の悪化を防ぐためにも、計画的な換気が必要です。
機械による換気によって、いつでも・どこでも清潔な室内環境を維持できるので、ご家族の健康的な暮らしにつながります。
冷暖房効率を高め、光熱費を抑えられる
高気密住宅で計画的な換気を行うと、冷暖房の運転効率が高まり、光熱費の削減につながります。
「換気=熱が逃げる」と思われがちですが、24時間換気システムは機械で空気の入れ替えをコントロールするため、熱の損失を最小限に抑えられるのです。
換気の種類によっては、室内の熱を有効活用しながら給気・排気を行えるものもあり、冷暖房のエネルギーロスを大幅に抑えられます。
結果として、年間光熱費の削減を期待できるのです。
カビやダニの発生を抑制できる
計画的な換気は、カビやダニの発生を抑制します。
カビやダニは、湿度が高く、空気が滞留する場所を好みます。
特に、高気密住宅で換気が不十分な場合、室内のあらゆる場所がカビやダニの温床となる恐れがあるのです。
24時間換気システムで室内全体の空気を清潔に保つことで、カビやダニの発生原因を根本から解消でき、快適な居住空間を維持できます。
以下の記事では、高気密住宅で気持ち悪いと感じる要因と具体的な解消法を紹介しているので、興味のある方はあわせてご覧ください。
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内部結露の発生を抑制し建物の長寿命化につながる
内部結露とは、室内の湿気が壁の内部に入り込み、それが冷やされて結露となる現象です。
目には見えないところで構造材を腐らせ、家の寿命を縮める恐れがあります。
適切な換気計画によって、内部結露の原因となる湿気をコントロールできるので、建物の耐久性を維持できます。
高気密住宅における24時間換気システムの種類と選び方

ここからは、高気密住宅における24時間換気システムの種類と選び方について、家づくりのプロの視点で詳しく解説します。
換気計画でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
第1種換気システムの特徴と選び方
第1種換気システムとは、給気と排気の両方を機械で行う換気方式です。
最大の特徴は、「熱交換型換気」を採用できる点にあります。
「熱交換型換気」とは、排気する空気の熱を回収し、給気する外気に熱を移してから室内に取り込む方式です。
寒さが厳しい冬場でも、換気によって冷気が入ってこないため、家中快適な室温を維持しやすくなります。
初期費用が高くなりやすく、定期的なメンテナンスに手間がかかるデメリットもあるため、コストと性能のバランスを考慮したうえで採用しましょう。
「熱交換型換気」の仕組みやメリット・デメリットについては、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
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第2種換気システムの特徴と選び方
第2種換気システムは、給気を機械で行い、排気は自然に行う換気方式です。
室内の空気が外よりも高くなる「正圧」の状態になることで、ホコリや汚染物質の侵入を防ぎます。
主に、クリーンルームや工場などで採用されるケースが多いです。
内部結露が発生しやすい性質があるため、一般的な住宅での採用は推奨されていません。
第3種換気システムの特徴と選び方
第3種換気システムは、排気のみを機械で行い、給気口から自然に空気を取り込む方式です。
多くのハウスメーカーや工務店で標準仕様に設定されており、初期費用を抑えられるメリットがあります。
また、構造がシンプルなため、メンテナンスも比較的容易に行えます。
ただし、第1種換気のような熱交換を行わないため、外気の影響を受けやすくなる点には注意が必要です。
初期費用を抑えながらも、十分な換気量を確保したい方にとって、魅力的な選択肢となります。
高気密住宅の換気についてよくある質問

この章では、高気密住宅の換気について、お客様がよく悩まれるポイントをQ&A形式で解説します。
24時間換気は絶対に止めてはいけない?
24時間換気を止めることは、基本的には推奨しません。
記事の前半で解説したように、24時間換気システムはシックハウス症候群のリスクを回避するための設備です。
法律で設置が義務付けられているほど重要な設備で、ご家族が健康に暮らすためには常時稼働が欠かせません。
冬場の換気で冷たい風が入る場合の対策は?
第3種換気システムの場合、給気口から外の冷たい空気が侵入し、「コールドドラフト」による寒さを感じる場合があります。
「コールドドラフト」とは、侵入した冷気が真下に降りて、足元から冷えを感じさせる現象のことです。
対策としては、サーキュレーターで暖かい空気を循環させたり、給気量を調整するカバーを取り付けたりするのが効果的です。
窓を開けての換気は不要?
24時間換気システムを導入したからといって、窓を開けての換気が不要になるわけではありません。
例えば、焼肉をした後、灯油ストーブの使用時、大人数で長時間過ごす場合などは、計画換気だけでは不十分なケースがあります。
必要に応じて手動で換気を行い、清潔な室内環境を維持しましょう。
まとめ
本記事では、高気密住宅の24時間換気で矛盾を感じる原因と必要性、換気の種類と選び方について詳しく解説しました。
高気密住宅における換気は、「家族の健康」と「家の寿命」に大きく関わる重要な要素です。
換気システムの種類によって特徴が異なるため、コストと性能のバランスを考慮し、適切に選択することが大切です。
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