住宅の新築費用は「擁壁」も要チェック!愛知の土地探し~家づくり編
擁壁(ようへき)という言葉は、耳馴染のない言葉かもしれません。しかし、住宅や土地を購入する場合、擁壁の有無が重要なキーワードのひとつです。なぜなら、購入時や購入後の費用が数百万円から数千万円も変わってくることもあるからなのです。そこで今回は、擁壁の種類、擁壁に関する法律や条例、購入にあたってのポイントについて解説します。ぜひ参考にしてくださいね。
目次
擁壁とは?なぜ必要?
擁壁はどのタイプがいい?
擁壁工事には申請が必要?
擁壁のある住宅にする場合の注意点~メンテナンスの必要性
擁壁がある土地や住宅を購入する場合のポイント
まとめ
擁壁とは?なぜ必要?
擁壁とは、高低差がある、土地や崖の斜面の土砂が崩れないように、コンクリート、ブロック、石などで土留めをするための壁状の構造物のことです。土地を造成して盛土や切土をしたり、もともとあった崖の崩壊を防ぐためには、斜面を安定させたり、道路との高さを合わせるための「擁壁工事」という土木工事が必要となります。
高低差がある土地は、自然災害などの影響を受けやすく、高い土地の上に載る建物の荷重、地震による影響、雨水の水圧など様々な負荷がかかると、斜面が崩れる危険性があります。そのため、斜面をできるだけ安定させ、様々な圧力に耐え、さらには雨水なども適切にコントロールできるような土留めの壁をつくる必要があるのです。
このように擁壁は、高低差がある土地に住宅にとって大変重要な構造物となります。
擁壁工事には申請が必要?
昨今の自然災害の増加で、記録的な豪雨、大規模地震の被害予測など、老朽化した擁壁や、その土地の実態に即していない擁壁の存在が社会問題になっています。
多くの自治体(都道府県)が定める「がけ条例」では、土地の高低差が2m以上ある場合、土地の所有者に擁壁を設置することが義務付けられています。
どのような崖や、高低差をどのように図るかなど、崖条例の内容は自治体ごとに異なりますので、土地の所有者(あるいはこれから購入しようとする場合)は、詳細を自治体に確認しておくほうがよいでしょう。地域の事情に詳しい工務店や不動産会社などに確認することをおすすめします。
高低差2mを超える土地の上や下に家を建てる場合は、条例によって家を建てる場所が、崖から一定の距離を置いて建てるなどの制限を受ける可能性があるため、建物の建築申請をする前に、予め自治体に申請が必要です。自治体に申請後、許可が下りるまで約1か月かかりますので、早めに申請をしておく必要があります。
特に、がけ崩れや土砂災害等の危険性がある「宅地造成工事規制区域」に指定された区域内の場合は、
・切土で高さ2mを超える崖をつくる工事
・盛土で高さ1mを超える崖をつくる工事
・切土と盛土を当時に行うとき、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを超える崖をつくる工事
・切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500m2を超える工事
・高さ2mを超える擁壁や排水施設の除去を行うとき
※崖とは角度30度以上の斜面のこと
などの工事を行う場合は自治体の許可が必要となります。
なお、高さ5mを超える崖の場合は、自治体により「急傾斜地崩壊危険区域」が指定されています。この地域は、住宅の建築そのものに自治体の許可が必要になります。ただし、この場合は都道府県などが崩落防止の工事を実施しますので施主側で擁壁工事を行う必要はありません。
擁壁のタイプ
擁壁は、大きく分けて3つのタイプがあります。コンクリート擁壁、コンクリートブロック積み擁壁、石積み擁壁です。擁壁を崖に対して垂直に建てられるのは、鉄筋コンクリート擁壁です。構造計算もしやすく、敷地面積が有効活用できますが、その分費用はかかります。
コンクリート擁壁
コンクリート擁壁には、鉄筋コンクリート擁壁と鉄筋の入っていない無筋コンクリート擁壁があります。鉄コンクリート擁壁は強度が確保しやすい素材です。
鉄筋コンクリート擁壁には、逆T型、L型、逆L型の3種類があります。いずれも、崖の斜面の土留めをする目的で垂直に立つI型の構造に加え、地中に水平方向にコンクリートの足が広がっていることで、垂直に立つ擁壁の倒伏を防ぐ構造になっています。敷地の条件によりますが、隣家の敷地に入らないように、これらを使い分けて設置することになります。
コンクリートブロック積み擁壁
コンクリート製のブロックを石積みのように積んでいく方式です。コンクリート製のブロックの間をコンクリートで繋いで固めるため間知ブロック練積み擁壁とも言われます。
石積み擁壁
城の城壁のような石積みの擁壁です。素材として自然石を使用する場合もありますが、自然石だけの石積みでは法律上の擁壁には認められないため、石と石の間をコンクリートで埋めることで「間知石練積み擁壁」とし、自然石積み擁壁のような風情を残しながら、強度も確保した構造になります。中には、古い擁壁がそのまま残り、自然石のみの石積みの構造のままになっているものもあります。その場合、強度的に十分でない場合もあるため、ひび割れ、膨らみはないか、排水は十分にできるか、などの確認が必要です。
なお、宅地造成等規制法第6条には、擁壁は、鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造、間知石(けんちいし)、練積み(ねりづみ)などにすることと定められています。自治体の条例によっても若干規定が異なる場合があります。
擁壁のある住宅にする場合の注意点~メンテナンスの必要性
擁壁は、このように法令に基づいた定めがあります。構造計算により擁壁のサイズ、鉄筋の量など自治体が定めた基準があります。
コンクリート造の擁壁の場合、コンクリートの寿命は約50年とされています。強度が確保された配合で生成されたコンクリートであれば、経年劣化で崩壊することはほとんどないと思いますが、近年の記録的な豪雨などの影響で、地中にたまった雨水を抜く水抜き穴かえら、うまく排水できない場合は、土の中にたまった水の水圧で擁壁が崩れる可能性もないわけではありません。大雨がおさまって2次災害の危険性がなくなってから、水がしっかり抜けているか、水が抜けている穴と抜けていない穴がないか、定期的に変化がないかをチェックしていく等のメンテナンスは必要となります。
老朽化した擁壁の対策も必要
また、老朽化した擁壁の対策も必要です。
既に数十年以上前につくられた擁壁は、構造が劣化していることがあります。特に石積み擁壁は、50年以上前に多く用いられてきた方式ですので、土地の購入、建て替えなどをする際には、現在のがけ条例の基準を満たしているかどうかの確認が重要です。
もし基準を満たしていない場合は、現在の基準に応じて、一度、古い擁壁を取り壊した後に、改めて擁壁工事が必要となります。土木工事となる擁壁は、修復補修をする程度の工事では根本的な解決にはならないのです。土地の購入、中古住宅の購入、建て替えの際は、契約後に擁壁工事が必要なことが判明した、ということがないようにしっかりと物件の内容を確認してください。
擁壁と境界について
また、擁壁は隣地との境界線につくられることが多いため、近隣とのトラブルになる可能性もあります。
一般的に、隣接する敷地で高低差がある場合、高い側の敷地の所有者が工事の費用を負担します。一方で、地盤を削って高低差ができた場合は、低くなった側の敷地の所有者が費用を負担することも多くあります。さらには、擁壁は隣地のいずれかが全額を負担するのではなく、相互に協議をして擁壁をつくったり、修繕するケースもあるでしょう。
このように擁壁は土地の境界や住宅の安全性にかかわってきます。そのため、重要度も高い案件であるうえに、土地を所有している期間にわたり長期的なメンテナンスが必要となるのですが、時間の経過と共に、あるいは所有者が変わったりすると、過去の経緯がわからなくなる場合も多くなってきており、注意が必要です。
擁壁工事の費用の相場
一般的な擁壁工事で鉄筋コンクリート擁壁の場合、立地の条件にもよりますが、1㎡あたり5万円~10万円程度が目安となります。例えば、100坪の敷地で、30mの流れを高低差2mで、60㎡の擁壁を行った場合、300万円~600万円程度となります。前述のように、老朽化した擁壁を取り壊し、再度、作り直すといったことが必要になる場合、工事費用がさらに数百万円かかり、合計で数千万円にのぼる可能性もありますので注意が必要です。擁壁工事費が嵩むケースは、
・勾配がきつく、工事の難易度が高い
・隣接道路が狭く、小さなトラックの往復回数が増える、通行整理のための人件費が必要
などがあります。
擁壁がある土地や住宅を購入する場合のポイント
土地や土地と建物を購入する場合、まず、その物件の擁壁が基準をクリアしているかどうかを確認する必要があります。もし基準をクリアしていない場合、不動産会社に相談して工事費相当の値引き交渉をしてみましょう。中古住宅を購入する場合も、擁壁工事のための費用を計算に入れた購入資金計画を立てる必要があります。
なお、擁壁のリスクは、敷地面積によっても軽減されるケースもあるなど、専門的な知識が必要となります。購入後にトラブルにならないように、不動産会社や、家を建てる予定の工務店などに相談しながら、事前に上記のポイントを十分踏まえて購入を検討してください。
まとめ
擁壁(ようへき)住宅や土地を購入する場合、擁壁の有無が重要なキーワードです。「がけ条例」では、土地の高低差が2m以上ある場合、土地の所有者に擁壁を設置することが義務付けられています。老朽化した擁壁は最新の「がけ条例」の定めに基づいて対策を講じる必要があります。擁壁の補修や作り直しになると数百万円~の整備費用がかかる可能性がありますので購入時や家の建て替えなどの際は施工会社に事前に相談しながら進める必要があります。
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